筆が止まった場合の対処法(2) 難易度 : ★ ☆ ☆ (初歩) 習得前提技術 : 序破急のモデル |
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「高等な技術」と言う謳い文句ですが、まずは基本から。小説を書く際に役に立つ、ごく身近で簡単なコツからお教えして行きましょう。 誰にでも経験があると思います。ついさっきまでスラスラと書き進めていられたのに、突然筆が止まってしまった。これからお教えするのは、そんな場合の対処法です。 なぜ筆が止まったのか。原因はふたつ考えられる。 ひとつは、自分がいま何を書いているのか、自分でも良くわからなくなってきたから。 もうひとつは、先の展開を考えながら書き進めていたら、途中から先の展開に詰まってしまい、進まなくなった。 「自分がいま何を書いているのか、自分でも良くわからなくなってきた」場合の対処法は別のところでお教えするとして。ここでは、ふたつめの「先の展開を考えながら書き進めていたら、途中から先の展開に詰まってしまった」際の解決方法をお教えします。 気合と根性で乗り越えると言う手段もありますが、それは置いておくとして。 まずは《序破急のモデル》を思い出してください。 《序破急のモデル》は、全体をみっつに分けるのがミソです。《はじめ》と《おわり》があり、そのふたつを繋ぐ《途中》とがある。これは、全ての文章に言える基本構造[フォーマット]です。 それならば。まずは、自分がどこのシーン展開に詰まってしまったのか明確にしてみましょう。 《はじめ》と《おわり》なら、すぐに考えられます。《はじめ》とは今書いている、現在点と思っても良い。《おわり》とはこれから書こうとしている、目指すべき目標点と思えば良いでしょう。ただ目標点と言っても別に、そんな遠くを設定する必要はありません。せいぜいが数行先でも構わない。 次に、点と点とを直線で結んだ図をイメージしてください。 一点しか起点がないと、どこに線が向かうのか分かりません。しかし、点がふたつあれば、おのずと線の方向は決まってきます。 つまりは、今の所や冒頭でつまずいたら、途中や最後から先に書いてしまえば良いじゃない、と言うことなのです。 例えば「初めてのおつかいに行って帰った」と言う物語を書きたかったとします。しかし詳細な内容が思いつかない。 そんな場合は、まず《途中》を考えてみましょう。
と、これで少しだけ展開が明確になって、先が書きやすくなりましたね。しかし、これでもまだ書きにくいと言うのならば、更に《途中》を増やしてしまいましょう。
「初めてのおつかいに行って帰った」だけでは単なる《あらすじ》に過ぎませんでした。ですがここまで内容が詳細に決まってくると、一人前のプロット「っぽく」なったように見えないでしょうか。後は、随時《途中》を増やしてゆくだけです。 馴れたら、ちょっとでも筆の止まった展開先を《ハコガキ》のように箇条書きで書いてしまう、と言う手段もあります。添削の難しい原稿用紙への手書きでは出来ない。訂正や挿入の簡単な、ワープロによる執筆活動独自の手法ですね。 ちなみに、そもそも冒頭からして書き出せないと言う場合はどうすれば良いのでしょうか。 作品中に出す予定はなくても、物語が始まる三日ほど前のストーリーを考えてみてください。行き詰まれば「起点を増やす」と言う基本は同じです。しかし別に、全ての《起点》を物語中に出して、読者に知らせる必要はありません。 物語内世界だけに存在する《起点》や、作者だけが知っている《起点》もあるのです。 |
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応用範囲 → 描写 |