他に類を見ない企画を立てよう その1

               創作に非ず




 力の限りを尽くして小説を書いた。ちゃんと、面白いという自信もある。けどヒットしない。そもそも、手にとって読んでもらえていない。
 小説を書き続けていると、そうした苦い経験を何度も味わうことになるはずです。
 よくいわれるセリフに「売れた作品が、良い作品だ」という言葉があります。もちろんだと頭では分かっていても、心情的には受け入れがたい。でも実際に、読んでみたら良作なのに売れない、という現象は珍しくありません。

 なぜ、そんな悲劇が起こるのか。だいいち世の中に出てくる小説や音楽といったコンテンツの数が多すぎる。多いから埋もれる。名作なのに、手にとってもらえない。さすがに世間の人々も、良作だからと全て読むほど、暇じゃありません。
 小説とは、言葉でできています。他人に伝わってこその、言葉。読んでもらわないと、いくら面白くても意味がない。

 今回、紹介する当テクニック。創作のテクニックでも、文学のテクニックでも、芸術のテクニックでもありません。
 読んでもらいたい、という理想がある。だが、手にとってもらえない、という現実が立ちふさがる。だからこそ、承認欲求のエゴを押し殺し、読者に媚びる。理想と現実とを摺り合わせる。
 だから創作でも、文学でも、芸術でもない。これは「自分が書いた小説」という道具を使って、自分の思惑を現実のものとするための方法。すなわち、企画のテクニック。そのひとつです。


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