他に類を見ない企画を立てよう その7

          企画のアフォーダンス




 企画とは、読まれるための工夫である。では「自分なりのオリジナリティ」を追求して、企画としていかなる効果があるのか。
 オリジナリティを作ることにより、企画として他の作品との明確な差異を狙う。差異によって、読者がその作品をどう読むかという用途[アフォーダンス]を作ろうとしていたのです。

 読者はどう小説を読むか。姿を想像してみてください。
 読者はその小説を読んで、はい終わりではない。読み終えて後に、読んだ小説について他人と語り合う、という段階もあるわけです。
 そこで重要なのが、ネタとしての話題性になります。

 だから……常軌を逸した奇抜なアイデアを使っているとか。主要キャラクターを冒頭で死なせて驚かせるとか。イラストの美少女が半裸だとか。顰蹙を買うようなパロディネタだとか。作者がネットで炎上しただとか。……全ては作品を手にとってもらうため。読むという「用途」を満たすための、ネタ作りです。
 歴史上の世界文学だって、当時のネタとして炎上事件を起こしてきた作品ばかりです。

 コレって、すげー卑俗的だけど重要な要素なんですよね。
 批評家はきっと「けしからん」「俗悪だ」と怒るでしょう。けど書き手にしてみれば、読んでもらわないと、手にとってもらわないと、何も始まらない。いくら高尚な文学作品だって、誰も読んでくれなければ意味がありません。

 けど、もしも子供でも分かって、しかも感動できる作品を書けたとしたら。それは批評家にしてみれば確かに「卑俗的」かもしれませんが。理屈の必要な芸術価値よりも、直感で分かる。そっちの方がボクは真なる「美」に近いと思うのですよね。
 美術芸術文学はその後の話です。シンプルなこともできない人間が、難解なことをやれるわけがない。


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