コレクションSSを書こう その5

          キャラクターの個性とは




 テーマは決まりました。設定のアイデアもできました。さあ皆さん、ここまで来たらワンシーンのストーリーを作るのは簡単ですよね。キャラクターを動かすだけですから。
 ……というと。キャラクターが動くとはどういうことなのか。どうすれば設定からシーンをイメージできるのか。そもそも、ストーリーとは何なのか。「ドラマとは人を描くことだ」といわれたって、意味わかんない。
 このままじゃ小説なんて書けないよ〜。

 と返ってくるんですヨネー。知ってる(何度も経験済み)
 なので、まずは軽く人物造形法について基礎的な説明をしておきます。

 まず最初から説明してしまいますが。キャラクターとは日本語に翻訳すると、特性とか特質という意味になります。特性や特質、すなわち特殊であること。他との違いこそが、キャラクターということになります。
 だからといって、変なだけが、違いであるとは限らない。

 クラスで一番走るのが速いヤツがいたとしましょう。すると彼は「走るのが速い」というキャラクターを獲得することになります。
 それが、走るのが速い人の大勢いる陸上部に入ったとする。すると彼の持つ「走るのが速い」というキャラクターは、陸上部の中において失われます。珍しくないから。
 もしも彼が何らかのキャラクターを陸上部内で獲得するとすれば、それは足の速さ以外の例えば性格や趣味になるか。陸上部の中でも「最も足が速いヤツ」になった時の話になるでしょう。

 個性とは自分ひとりで作るものではありません。それは自己言及というもの。前章の『コレクションSSをやる意義』でも先述しましたが、自称で自分は決められないのです。他人とは自分を映す鏡。自分とは、他者の中で作られてゆくもの。
 他とどう違うかで、個性は決定されます。ですから他との差異が明確な方が、読者も感情移入しやすくなる。いわゆるギャップ萌えというヤツです。
 設定を作る時は、以上を意識して「キャラクターの周辺」まで視野に入れておくと描写しやすいでしょう。

《例》
ギャップ:ツンデレ。
周辺:デレる相手があってこそ。


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