シーン転換の技法 その2

          シーンのリンク




 シーンの繋ぎ方は基本的に、意味内容をリンクさせることにあります。
 特に注目すべきは、マクラとヒキ。マクラとはシーンの始め方。ヒキとはシーンの終わらせ方のことです。

 例えばヒキで疑問を作っておき、次シーンのマクラでその疑問を受け止めて答えを出す、というやり方があります。

《例1》
「アイツ大丈夫かなあ」
 ↓
(シーン転換)
 ↓
「ハックション! 誰か俺の噂をしているな」

《例2》
彼女は別れましょう、といった。
 ↓
(シーン転換)
 ↓
 彼女の言葉を回想する。
「わたしたち、別れましょ」
 そういえば、もう十年会っていない。

 例1ならば、誰が大丈夫なのかで興味が維持されます。
 例2ならば、彼女の言葉を軸にシーンが変わることで、次シーンでは既に十年が経過したことまで紹介されています。
 このようにシーンが変わっても全体としての文脈の一貫性を保障する効果を狙うことで、読み進めさせるのです。



 上の図を見てください。シーンAとシーンBとがああります。その、ふたつのシーンに重複する部分を、あえて作っておく。するとAからBへと、スムーズに移行できるわけです。
 このように。なぜ、シーンがそこで始まるのか。そこで終わるのか。意識するところからはじめましょう。


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