描写練習問題 その1



■序文

 いちど暗記してしまえば、後はラクチンになれるはず。「技」とはそんな、定まった答えを与えてくれるものではありません。
 苦悩の中にあってこそ、初めて役立つ。「技」とは問題の解法だとするのならば。技を身に付けるには、普段からの苦悩が必要不可欠のはず。
 というわけで小説描写の練習になる問題集を用意させてもらいました。

 何の練習もなしに、いざ本番で自らの力量を発揮しようと思っても、そうそう全ての力は出ないもの。練習で百の力が出るのならば、実戦で出る力は、せいぜいが十程度でしょう。
 以下の問題はどれも、思わず筆を止めてしまうような箇所を、ボクの経験から厳選したものです。これらの問題に対応できるようになれば、あなたもどんなモチーフだって文章化する能力がついているはずです。

 さて描写練習のルールを説明させてもらいます。
 分量に関しては各人の自由。目安としては、五十字以上、百字程度をまず目指せば結構でしょう。
 それよりも大事なのが書き方です。詳細は描写講座を読んでもらうとして。特に問題中へ「描写してください」との記述があった場合は、注意して《ほのめかす描写》を目指してください。そのためには、まず作者自身の主観や感想、意見を省く。形容詞にも頼らない。モチーフをそのまあ書かないことと意識しましょう。
 最終的には、他人が読んで思わず、場面として映像が浮かぶ、臨場感のある描写ができるようになれば理想。最初は、とりあえず文章として説明できれば充分です。

 次に問題内容ですが、描写の目的から分類して、叙情・叙景・叙事の三種類となっております。
 つまりは、気持ちを描く・風景を描く・ありのままを伝える。この三つが出来れば、およそ文章で伝えられないことはありません。

 ただし叙事問題だけは特殊で、ABの二種類を作っておきました。叙事問題Aは普通の描写練習ですが、問題Bはむしろ発想練習に近いものとなっています。
 なぜ描写練習で発想の練習を行うのか。描写とは発想力と密接な関係にあります。発想力がないと、描写力も上がらない。だが描写を癖にすることで、基礎的な発想力も上がるもの。
 つまりは発想力も鍛えることで、描写力もアップさせようという試みです。

 また以下の問題に、理想的な解答例などあっては、皆さんの発想が偏ってしまいます。ですが小説とは自由なもの。
 なので解答例はありません。解答の善し悪しを判断するのは、あなたです。それも不安ならば、身近な人に読んでもらっても構わないかもしれませんよ。

 では、レッツチャレンジ!

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