プロットノックをやろう その1

           プロットノックとは




 文学評論家にして漫画原作者の大塚英志さんの提唱した物語作成訓練方に、タロットカードを使ったものがあります。何らかの意味が書かれたカードを並べ、そこに現れた物語を読み解く、というものです。この訓練法を《プロットノック》と呼ぶことにしましょう。
 ところがこの訓練法で使われている、大塚英志さんの考えたタロットカード……ここでは仮に《大塚英志式タロット》と呼びます。この《大塚タロット》というのが無茶な内容だった。

【大塚英志式タロット】
知恵、生命、信頼、勇気、慈愛、秩序、至誠、創造、厳格、治癒、理性、節度、調和、結合、庇護、清楚、善良、変化、幸運、意志、誓約、寛容、公式、対立、支配

 パッと見ただけでは分からないでしょうが。実際に《大塚タロット》を使って、物語を作ってみれば分かると思います。か〜なり面倒臭い内容をしている。
 例えば《慈愛》と《庇護》って、どう違うんだとか。《理性》と《節度》って意味が重複してないかとか。《清楚》の逆位置はやはり「淫乱」なのか。でも「淫乱」なんて、物語によっては使えないし。そもそもタロットにおける逆位置とはネガティブという意味だから、やはりココは貞節ゆえの不幸といった意味になるのだろうかとか。
 中途半端に意味が具体的過ぎると思えば、他のカードは意味が分かりにくかったりする。おかげで物語を作る前段階の、カードの解釈で悩むことになります。

 結果、少し検索すれば出てくる出てくる。ネットのあちこちに、大勢の挫折者が死屍累々と。かくいうボクも二度三度と挫折した経験がありましてな。
 そこで作り出したのが、物語作成に特化したタロット。名付けて《はまタロット》というわけです。
 《はまタロット》はプロットノックにおける、いわば補助輪付き自転車のような存在といえるでしょう。転ぶ痛みで、修行をあきらめたくなる前に。まずは「先に進む」ことに慣れるのを目指そうという試みです。
 つまり、ね? 《大塚タロット》よりも《はまタロット》の方が簡単にプロットノック始められるよ、っていう話です! いや、もちろん多少の苦労はありますけどね。でも、だいぶマシにはなっているはず。

 ですから《はまタロット》による修行を百本もこなした人たちは誰もが、最終的には《大塚タロット》でのプロットノックも余裕でこなせるようになっています。
 というわけで、皆さんも良き小説書きを目指すに当たって。まずは軽〜く、プロットノックを百本こなすところから目指してみましょうか。

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