コレクションSSを書こう その8

          キャラクターの造形法




 設定がどうなれば物語になるか。物語になりやすい設定とはどのようなものなのか。全てはリトマスにあります。

 それでもキャラが動きにくいという方は。もうひとり、《相方》を用意してあげましょう。ふたりいれば、掛け合いにボケツッコミ、問いかけに返答と、様々な行動ができるようになります。リアクションさえあれば物語になるもの。
 相方の存在自体が、リアクションを引き出すリトマスとして機能するのです。いわゆるシャーロックホームズにおけるワトソン君ですね。

 そして、ずっと登場人物の動かし方ばかり説明してきましたが。ならば小道具や風景といった世界設定をコレクションSSとして動かすにはどうするか。
 舞台の中にリトマスを放り込むか、リトマスの中に放り込まれる舞台自体を描いてください。その時、舞台の中にいる登場人物こそが《相方》として機能してきます。

 小説技法的に。キャラクター造形は直接的か、間接的かのいずれかになるものですが。舞台の場合は主に間接描写が使われることになるでしょう。

《例》
直接的:登場人物の特性が語り手や他の登場人物によって語られる。
間接的:登場人物の行動、反応、思想、感情などから推理できる。

 またリアクションを起こすのはリトマスなのだから。リアクションの描写には、リトマスも描くよう意識しましょう。キャラなら周囲の光景まで。風景ならその中にいるキャラまで、意識して書くくらいがコツです。

 他に、よくある質問なのですが。四コマ漫画でよくある、何も起こらない日情系とは。キャラ自体が既に異常なんですね。我々読者の常識観がリトマスとなっているわけです。

 最も原初的な物語とは恐らく、実在した英雄の人生を記録しただけのものだと思われます。ですが、単なる記録であるハズのものを読んで人は感動した。すると語り部の中から、感動させるための物語を作ろうと考えた者が出てくる。フィクションの誕生です。
 だから、こう憶えておいて下さい。「物語とは行為の記述である」と。感動とは、アクションやリアクションを積み重ねた向こうにあるのです。


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