コレクションSSを書こう その9

         SWOTによるリアクション




 さて今まで皆さんに教えてきたのは、実はずっと前振りでした。単に基礎的な説明をしてきたに過ぎません。
 けど問題はココから。さあ覚悟してください。

 設定からリアクションを出せば物語になる。すると、リアクションが思いつかない、という人が必ず出るんですよねー。アイデアノックやプロットノックをやれば、本来ならばありえないはずなのですが。
 なので特別に、リアクションを考える解決策を教えてさしあげましょう。SWOT法を使うのです。SWOT法の通りに発想を行えば、誰でもリアクションが思いつきます。

 SWOT法とは何かというと。経営戦略を検討するため、自社を分析するための発想法です。自らの個性に対して、強みと弱みを。自らを取り巻く環境に対して、機会と脅威を再確認する。そうすれば自分がどこで戦うべきで、どこでの戦いから逃れるべきか、独りでに分かるというわけです。
 すなわち発想すべきは、「2×2=4」で四種類になります。

●SWOT法
機会×強み=Strengths(自社の強み)
機会×弱み=Weakness(自社の弱み)
脅威×強み=Opportunities(自社を取り巻くチャンス)
脅威×弱み=Threats(自社を取り巻く脅威)

 「自社」は「ホーム」と、「自社を取り巻く環境」は「アウェイ」と置き換えれば、更に分かりやすくなるはずです。すると強みと弱みは、得意に苦手、といったところでしょうか。
 こんなので本当にリアクションが思いつくのか。実際に試してみましょう。

《例1》
●設定:文学少女。
●環境:図書館にて。
●強み:たくさんの本に目を輝かせる。
●弱み:読書に夢中になりすぎる。

《例2》
●設定:炎の魔剣。
●個性:刃から炎を出す。
●機会:戦いに勝利をもたらす。
●脅威:料理に使おうと思ったら刺身が焼き魚に。

 文学少女の例は、環境→個性の順番で。魔剣の例は、個性→環境の順番に考えました。

 さて、実際に何度かやってみれば分かると思いますが。タロットカードを使うか、ビジネスにおける分析法を使うか。テーマからアイデアを引き出す、きっかけが違うだけで。SWOT法とは、実はリアクション縛りのアイデアノックです。本質的には何ら変わりありません。
 ですからテーマから設定アイデアの発想に、設定からのリアクション発想と。アイデアノックに熟練した皆さんなら、コレクションSSに必要な発想も問題なくできているはずですよね!

 ならば、なぜSWOT法がリアクションの発想法として機能するのか。
 SWOT法とは、環境に対する個性の出し方に関する分析法です。つまり、SWOTから引き出されるのは、環境とキャラとの関係性。まさしくリトマスにリアクション、そのものとなる。だからコレクションSSに使いやすいんですね。
 本当は……正直に告白すると。ある日、思いつきで試してみたらコレクションSSに使いやすかったんでラッキー! というだけなんですけどねー。

 というわけでリアクションが思いつかないという方も、これでひとつの設定アイデアから、最低でもよっつのリアクションが作れるようになりました。どれか一個を使えば充分ですよね。
 以上。アイデアノックの応用による、リアクションの発想法でした。じゃあ次。


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