文章を横滑りさせないために 難易度 : ★☆ ☆ (初歩) 習得前提技術 : 特になし |
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展開しないで同じところを堂々巡りしている文章を、《横滑り》している文章と言います。文章を《横滑り》させないように気をつけましょう。 ……と言っても、《横滑り》した文章とはどのようなものなのか。また具体的に、どうすれば《横滑り》しないようになるのか。《横滑り》の問題は、文章作法(小説作法ではない)の基本でありながら、把握していない人、把握できかねている人が多いように思えるので。少し説明させてもらいます。 この例文を読んでみてください。
読んでいて特に何も伝わらなかったのではないでしょうか。なぜなら、この描写には具体的な表現がないからです。 まず、どこからが池でどこからが湖なのか、と言う基準なんて読者が知ろうはずがない。「湖にしては小さい」と言うのも、「池としては大きい」と言うのも、しょせんは主人公の主観に過ぎない。しかも結論が「中途半端な大きさ」と、何に対して「中途半端」なのかが不明なままになっている。 そのため、この例文からは読者に何をイメージして欲しいのか、と言う主旨[テーマ]を読み取ることができない。 本当は、ちょっとした比較対象でも事例として挙げてくれれば、断然わかりやすくなるのですがね。 そして肝心の《横滑り》に関してですが。 上記の例文は湖の大きさに関する描写です。提示されている情報としては、「小さい」、「大きい」、「中途半端」のみっつがあります。だがこれらの情報が、串団子のごとく、均等に並べられているだけなんですね。どの情報も、重要さでは同程度の大きさになってしまっている。 しかしですね。提示する情報を並列化してしまうと、その描写は散漫になり失敗するものなのです。
もちろん例外は存在します。例えば、商品棚に並んでいる品物か何かのリストを、そのまま小説文として採用してしまう、と言う書き方も技法としては考えられます。小説の文章と言うものは素晴らしく雑食的なものです。自らの目的のためなら、ありとあらゆる言説を取り込み適合させることも可能でしょう。 ただそれは、かなり特殊な技法です。 やはり小説の大半は、説明文か描写文によって構成されているのも事実。ストーリーの写実を目的とした文章において、箇条書きは余り有効ではありません。 Aがあった、Bがあった、では困ります。AがあったからBがある、BがあるからCがあるのではないか、というつながりを持たせるべきなのです。 イメージしてみてください。 鎖につながれた犬が、コンパスのようにグルグルと回って足踏み状態になり、犬小屋から一定範囲外に出られない。それは実質、進んでいないのも同然です。これが《横滑り》した文章と言うものです。 対して、きちんとした論脈を持った文章とは読む者に、一歩一歩階段を着実に上っているような感覚を与えます。 何から説明するか。何を説明するか。主旨を決めてから書く。これは小説に限らない、全ての文章作法における基本です。 以上を踏まえて、ボクなりに例文を書き直してみました。……こんなもので、いかがでしょうか?
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応用範囲 → 描写、構成 |