視点 その52 パースペクティブとカメラフレーム(2) |
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もっと詳しく、フレームの各所でどうモチーフが認識されるか。細かく見てみよう。 まずフレームの中心物は、よく見える。よく見えるから、明確な輪郭を持つ。明確な輪郭を持つということは、文章ならば「犬である」というように、断定形の文章で表現されることが多くなるだろう。 またよく見える、ということはパースペクティブ的に近景と同じ効果を持つということにもなる。 それがフレームの端になるにつれ、注意から外れてくる。すると輪郭線は曖昧になる。パソコンの画像データ的に説明するなら、解像度が低くなり、画質が粗くなる。何が映っているのか、パッと見では分かりづらくなる。すると文章では「犬だろうか」というように、推論形といった曖昧な言い方になってくるだろう。 この場合はパースペクティブだと、遠景と同じ効果を持つことになる。逆にいうと、重要度の低い注意から外れた情報は、パースペクティブが遠くなる、とも考えられるだろう。 そして中心から外れ、辺縁に追いやられたモチーフは、とうとうフレームの外に出てしまい、見えなくなる。 フレームの外とはつまり、ブラインドである。ブラインドとは例えば、まだ開いていないドアの向こう側だ。一人称や登場人物外特定視点といった、基本的に動かない焦点子において、フレームの外は観察できてはいけない。 それでもフレームの外を描きたいのなら、どうするか。まず考えられる簡単な方法は、注意をそちらに向けることだ。 注意の中心を変えるが嫌なら、どうするか。焦点子の方からパースペクティブを引いて、遠景にしてやろう。登場人物外特定視点でブラインドの向こう側が見えないというのなら、不特定視点や物語視点になってやれば良いのだ。 すると物語世界全体を俯瞰できるようになるため、ブラインドの向こう側も見えるようになる。中心を変えずに、フレーム内に収まるようになるのだ。 ただし、あまり唐突な視点移動や視点変更を行うと、読者は視点が狂ったと感じ、戸惑うことになるだろう。くれぐれも多用しないように。 と以上を踏まえた上で、こんな例文を書いてみた。モチーフをフレームの中に入れたくない、注意したくない、という描写になりますが。 どうでしょうか?
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