他に類を見ない企画を立てよう その4

             設定条件の意味




 ところで、なぜニチアサヒーローを考えろ、という問題なのか。実はちゃんとした理由があります。
 それは、様式[フォーマット]が既に、きちんと確立されているからです。ともすれば、手の加えようがないくらいに。
 ゆえに既存のプロ作品と、自分とを冷静に比較しやすい。プロに求められるレベルと比較されて、自分がどれだけ発想力を持っているのか。自らの不足、冗長、未熟さがよく分かるのです。
 コレばかりは理屈じゃなく、実践と感覚じゃないと分かりませんからねー。

 この「ヒーローを作る」そして「第一話を作る」という問題を真にクリアするには、研ぎ澄まされた発想力が必要となります。
 たったひとつのアイデアで、裏にある奥深い背景が想像できる。複雑と単純を兼ね備える。そんな狙い澄ましたアイデアを出さなくてはならないのですから。

 例えば仮面ライダーならば、悪の組織に作られた改造人間という設定があります。つまりヒーローの持つパワーの本質が、悪と同じなのです。
 だからこそ主人公は悩み、ドラマが生まれ。自分の人生を歪めた悪と、戦う動機にもなる。つまりは、ひとつの設定で全てが説明できます。
 こうすれば説明の手間も省け、書き手であるあなたが物語に何を描くべきかも明確になるでしょう。と同時に受け手側も、いちいち、たくさん設定を記憶する面倒がなくなる。子供でも理解できるようになります。

 多くの人々から求められる。魅力あるアイデアが、たくさん派生する。ひとつで複数の問題を解決してしまう。しかも、それら全てが整合性を持っている。だがシンプル。こういう発想こそ、テクニックを懲らさないと思い浮かばないというわけです。
 神は細部に宿る。だが無駄はなくせ。
 プロのクリエイターになりたいという志望者は世に大勢いるでしょう。けど実際にこうして、自分の実力と、プロの仕事を比べてみれば分かると思います。プロがいかに厳しいか。

 とまあ、こういう問題を普段から慣れておいて、どんなジャンルでもクリアできるとしたら理想でしょうね。
 自然と、ベッタベタなそれこど「勇者と魔王」みたいなファンタジー系の世界設定でも。あなたのオリジナル企画でも。魅力が出せるようになるはずです。
 て、いいますか……仮面ライダーの方が難易度は高いし……。


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