他に類を見ない企画を立てよう その6

                ガチ&POP




 ところで、この企画練習において注意してほしいのは、二次創作でやっているのではない、ということです。必要なのは既存ジャンル、という条件的な縛り。
 実はここに良いアイデアを出すためのコツが潜んでいるのです。そのコツとは、どのようなものなのか。
 どうやら良い企画とは、ガチとポップの合わせ技によって生まれるらしいのです。

 ガチとは、あなたが持つ自分だけのこだわりです。それこそ、一般には理解が困難どころか、ドン引きされるくらいの濃密さでちょうど良いくらいでしょう。
 ポップとは、ポピュラーなこと。広く一般に受け入れられていること。ありふれた、ベッタベタな、でもウケが良い。それこそ媚びているくらいでちょうと良い。

 例えばあなたは本当なら、社会問題を取り上げた小説を書きたいとする。つまりは、ガチですね。だが誰も素通りして読んでくれない。当たり前です。良薬であったとしても、苦くて飲みにくいなら、嫌がられて当然。
 自分が言いたいこと、そのままの姿、ガチを出してはならない。ガチのみでは、他人には伝わりません。
 苦くて飲みにくい薬だからこそ、砂糖菓子[シュガーコート]に包んで、甘い口当たりにしなければならない。甘い砂糖、すなわちポップさということです。

 といってもポップという、甘い包みだけで中身がないなら、味わいがない。誰でも作れるのだから、せっかくあなたが作る必要がない。他の誰かが代わりに作ったので構わないでしょう。
 だからこそ、ガチとポップの合わせ技。ガチとポップ、両方の条件を満たす企画を立てれば良いのです。

 オリジナルの仮面ライダーを作るという企画練習法。
 ニチアサヒーローという要素が、ポップになっています。つまり、既存ジャンルの中で作る、という縛りが「ありふれた」「一般的な」ポップとして機能する。
 あとはその中で、自分のガチをどう出せるか。

 もしあなたがサッカー選手だったとして、目立つためにはどうすれば良いでしょうか。
 サッカーとは関係ない分野で悪さをすれば良いのでしょうか。サッカーのルールを守らず、好き勝手をすれば良いのでしょうか。いえ、違いますね。
 ルールの範囲内、みんなが求める範囲内で、自分にしかできないことをやる。ベストを尽くす。ずっと鍛えてきた、自らの能力をアピールする。

 今回の企画練習も同じことです。
 ニチアサヒーローもの、という場に求められるポップ……ポピュラリティ・一般性・ニーズ。そこへ、自分にしかできないこと、というガチを加える。他人から求められると同時に、自分にしか書けない作品を書く。
 これこそが「自分なりのオリジナリティ」というものです。


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