タイムテーブルで映画を分析しよう
その5

         映画分析実例:後




【60〜91分】
 オダ・メイの前科が明かされる。悪霊に念力の教えを請う。再度、占い屋にて憑依のレクチャー。銀行から先に小切手を引き出してしまう。
 めまぐるしい攻防によって、敵味方共に戦況が悪化。最終決戦に突入せざるをえなくなるという伏線が張られます。このために今までのストーリーに提示されてきた情報が全て発揮される。ラストのカタルシスへ向けて、動機が完了。
 ここでの攻防が全て伏線となって、ラストバトルに繋がります。

【92分〜】
 小切手を寄付してしまう。「天国へ行ける」はい、これ伏線ですね。

【95分〜】
 追い詰められたカールは彼女の家へ。とここで89分〜91分で、彼女とすれ違っていたのが、「銀行にいたことと?」というセリフにより致命的な失敗と化します。
 さあカールによる物理的な反撃という、最終決戦開始。プロットポイントUになります。

【100〜104分】
 オダ・メイが襲撃されますが、念力を会得した主人公による反撃が行われる。このシーン、悪役を懲らしめているように見えますが。実は主人公こそ悪霊として、憎き仇を祟っているのですね。
 悪役は車で轢かれて死にますが、悪い精霊が迎えに来てしまう。冒頭の、悪人はどうなるかの謎が明かされたということになります。
 そして悪い精霊を見てしまうことで、主人公は冷静になる。うまいカウンターを当ててるな、と思います。

【104〜106分】
 今度はペテンじゃない。オダ・メイの成長が描かれます。成長しているからこそ、最終決戦に参加することもできる。

【106〜107分】
 祟りの次は、奇跡としての念力が描かれる。だからこれはドアが開かれるだけの意味ではない。憎しみに囚われた主人公の心が、彼女への愛にシフトしつつあるという描写にもなるわけです。

【107〜111分】
 オダ・メイを介した愛の会話。オダ・メイは自ら進んで憑依されます。これもさっき、成長を描いているからこそ納得できるシーンとなるわけですね。
 そしてオダ・メイという橋渡し役を介して、とうとうモリーも霊の世界に踏み込みます。BGMも良い伏線になってますね。

【112分〜】
 カールが来襲するも、力を失った主人公。このタイミング、上手いですよね。

【116〜118分】
 カールは死に、ゴーストとなる。自業自得の形になってます。主人公は手を汚していないのがミソ。
 そしてカールは悪い精霊に迎えられますが、主人公は喜ばない。むしろ悲しんでいる。つまりは成長した主人公の心から、憎しみはなくなっている。

【118〜121分】
 モリーにも聞こえる声。今での伏線があるからこそ、善き精霊の迎えが皆にも見えるようになっていて、違和感がない。
 オダ・メイを介するのではない、真に触れあってのキス。「愛してるよ」「同じく」は冒頭部分との対比ですね。

【〜122分】
 ラストカット。主人公の昇天。祟りは、奇跡となった。悪い精霊の迎え二連発との対比になっている。かつプロットポイントTでの昇天が、伏線として活かされて終わり。


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