奥行きのある風景を描こう:3

       お題となる舞台を作ろう(1)




 風景描写といっても、描写の基礎を身につけた方なら難しくはないはず。結局は慣れていないから、苦手意識があるのですね。というわけで、どうやって普段からの練習をするか。
 つまりは、どう風景のお題を見つけるか。練習法を提案させてもらいます。


【歳時記から探す】
 俳句の歳時記を、目をつむったままパラパラと開き、適当な箇所を選ぶ。その季語が存在する風景はどのような場所なのだろうか。練習として描写してみましょう。

 歳時記は、日本語における風景描写の集大成です。少し高価ですが、写真付きのものを買うと、イメージしやすいので便利ですよ。
 小説書きの資料として一冊は持って損はありません。


【風景写真を集める】
 風景写真を見ながら、描写の練習に使いましょう。しかし、その写真はどこから手に入れるか。

 本屋へ行って一度、芸術コーナーを覗いてみてください。様々な写真集があります。近頃なら工場や廃墟、空の写真だけを集めたものなど。資料として以外に、単純に見て楽しい。
 あとはボクのように趣味で、絵はがきをコレクションするのも悪くないかもしれません。
 一番簡単なところでは、ネットで検索すれば数多くの写真素材が見つかるでしょう。

 ですがココは、デジカメなり携帯なりで、皆さんも自分の周囲の風景を撮影してみましょう。いつもの帰り道だって、ふとした意識の違いで美しく輝いて見えることがあるはずです。

 そもそも風景とは何か。風景とはどこにあるのか。
 風景とは「周りの様子」という意味に過ぎません。もちろんですが、どこにだって風景は存在します。でも、普段はとりたてて意識したりしない。
 でも意識する瞬間がある。その瞬間、たった今の様子を、絵なり写真なり文章なりで閉じ込める。変わらないように。
 それが風景描写。つまり、見る者の意識なしに風景は存在しない。風景探しとは、常に作家としての意識を持とう、という訓練でもあるわけです。


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