ストーリー その11

   物語のフォーマット




 物語が物語である以上、絶対に外すことの出来ない形式が、物語にはある。その物語の絶対必要条件とは、

  ・ 《はじまり》があること。
  ・ 必ず《終わり》があること。
  ・ そして、そのふたつを繋ぐ《途中》があること。

の以上みっつだ。
 改めて教えられると、何だ大したことはない当たり前ではないか、と思うかもしれないが、これらは実は重要な考え方だ。
 なぜなら必然的に、構成のための技法は、この三カ所に集約されるからだ。

 と言うことは、これらの物語の基本形式から推測すると、構成技法とは原則的に

  ・ 1 :物語に関する情報を持たない受け手を、
      《はじまり》でつかまえて離さないようにする。
  ・ 2 : 《途中》で飽きさせずに最後まで読ませる。
  ・ 3 : 物語には必ず《終わり》がやってくる。
      永遠に膨らみ続けることはない。

のみっつに集約されることとなる。
 更にこれらに加えて《ハリウッドのタイムテーブル》でも指摘した原則があるのを憶えているだろうか。その原則とは、

  ・ 4 : 「《はじまり》から《終わり》までテーマが首尾一貫
     
 していること」
       もしくは
      「最初に言ったことと、最後に言っていることが、
  
    違ってはならない」

と言う、これを加えてよっつ。
 このよっつが構成技法の基本原則となる。あらゆる枝葉末節の細かい構成技法は、これらのために存在すると言っても良い。

 《4》を理解するのはたやすい。実行しようとするのも、誰でも可能だろう。だが問題は《1》と《2》と《3》だ。構成が難しいとされている理由は、このみっつにある。
 ゆえに、構成法を知るためには、この「みっつ」を成立させるための方法が説明されなければならない。

 そのためには、もうひとつの考え方が必要になる。その考えとは、「面白さの正体」で話した、「面白さと言う情報価値の作り方」についてだ。


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