ストーリー、その5

   情報の並べ方《起承転結》




 《起承転結》はストーリー構成のコツとして、もっとも有名なものだろう。
 しかし《起承転結》とは何か。どこで何をしたら良いのか。きちんと理解できている人なんて、実は相当に少ないのではないか、とボクは思うのだ。
 ボクも勉強の途中で《起承転結》について、いろいろと知ることは出来た。だがボクは今でも《起承転結》を使いこなす自信はない。

 辞書で調べてみよう。
「漢詩の句の並べ方。起句でうたい起こし,承句でこれを承(う)け,転句で趣(おもむき)を転じ,結句で結ぶという形式」
 良くわからない。

 《起承転結》の説明は、四コマ漫画を例として挙げられる場合が多い。
 確かこんなものだった。「《起》で始まった話が、《承》で膨らむ。《転》で展開が変わって、あれっと思い《結》で終わる」。
 これでわかっただろうか。ボクはわからない。

 《起》は理解できる。「冒頭」や「ファーストシーン」のことだろう。
 《結》も理解できないではない。「終わり」や「ラストシーン」のことだろう。
 ただ問題は《承》と《転》だ。違いがわからない

 しかしこうやって理解できない理解できないと、何度も嘆いていても仕方がないので、話を先に進めよう。
 まず重要なことは、《結》に相当するシーンは存在しない、ということだ。では《結》とは何か。「ストーリーが終わること」を《結》と呼ぶのだ。小説で言えばシメのひとことと言うことになるだろうか。全く存在していないわけではないが、量としては、ほぼ存在しないも同然だと言える。
 と言うことは実質のラストシーンとは、《転》と言うことになる。

 そしてもうひとつ重要なことがある。《承》は一度だけでなく、何度も繰り返されると言うことだ。
 つまり《承》と《転》は基本的に同じものである。ただ、たまたまラストシーンに当てはまる場所の《承》が、《転》と呼ばれている、と言うだけの話なのだ。
 これを図にしてみると、こうなる。


 起 承 承 承 承 承 …(中略)… 承 承 承 承 承 転 (結?)


 なんだこりゃ。
 これで皆さんも《起承転結》を理解出来ただろう。何を理解出来たって、《起承転結》は役に立たない、と言うことが理解出来たのではないか。
 そうなのだ。
 詳しい結論は後に回すとして、実は《起承転結》は、読み解くためならまだしも、作り手のための構成方法としては、あまり役に立たない。それを、すぐにストーリー構成と言えば《起承転結》だと言う先入観があるから、みんな惑わされることになるのだ。
 この際だから皆さんも、《起承転結》のことは忘れるようにしてほしい。


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