ストーリー その7

  情報の並べ方
  《ハリウッドのタイムテーブル》その2




 こちらの図を参考にしながら読み進めてほしい。

 結論を最初から出し、理由や経過を後に続ける書き方と言うのは珍しい構成技法ではない。話題に対する興味がない人間への好奇心をかきたてるために使われる。特に論文などで良く使うし、ドラマでも過去を回想すると言う形で、多用される。
 珍しくはないが、それだけ効果的な技法だということだ。

 ただ《起承転結》では、この技法を説明することができない。
 《起承転結》は「起こったこと」「起こること」を因果関係に沿って順番に説明する。《起承転結》が説明出来るのは、時間軸が過去から未来へ向かって一直線に進んでいる場合だけだ。
 これでは構成法がかなり限られてしまう。予告、回想、先読法、後読法、カットバック、スイッチバック、フラッシュバック、フラッシュフォワード……あらゆる《錯時法》が使えなくなる。
 《起承転結》はその意味でも不完全な構成法なのだ。

 しかし《ハリウッドのタイムテーブル》では、《ポイントT》で問題が起こる、《ミッドポイント》で本質的な問題が浮上する、《ポイントU》で問題が解決される、とある。
 みっつの「ポイント」で共通して言及されているのは「問題」についてだけだ。《ハリウッドのタイムテーブル》において時間軸は重要ではないのだ。

 ならば《ハリウッドのタイムテーブル》において重要とされているのは「問題」と言うことになる。「問題」つまりは「問い」だ。
 どのような「問題」が起こったのか。語り手は受け手に対して、何を問いかけているのか。話題は何なのか。
 これが《ハリウッドのタイムテーブル》において重要とされている点なのだ。
 ただもちろん、困った事柄や、厄介な事件としての「問題」と言う解釈でも構わないだろうが。




 (ここ、重要なトコね。期末テストに出るよ?)


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