視点 その49

     パースペクティブと視点




 するとパースペクティブにとっては、一人称も三人称も区別がなくなる。あるのは焦点子とモチーフとの距離のみ。近ければ一人称、遠ければ三人称。
 距離感さえ分かれば、どんな人称視点でも表現できるということになる。

 だからボクは、視点とは天動説のようなものだ、と先述したのだ。
 主体とモチーフ。主体と焦点子。果ては作者と物語そのものと。あらゆる「もの」同士の距離は変わり続ける。それを一個一個把握するのは無理だ。だからこそのパースペクティブ。
 パースペクティブさえ把握していれば、焦点子とモチーフがどのような関係にあったとしても。その場その場で、そのモチーフに合った視点の文体を編み出すことができるようになるだろう。


← Return

Next →


Back to Menu