コレクションSSを書こう その1

            コレクションSSとは




 まずは皆さんが本講座を読む前に、注意をしておきます。
 これから紹介する『コレクションSS』とは、描写の練習法になります。ただ少しだけ難易度が高くなっている。
 最低でも、アイデアノックの百本に、描写練習問題にも全てチャレンジ、程度は必要不可欠。また簡易的ではあるとしてもストーリーを考えなくてはならないので、プロットノックも済ましておいた方が良いでしょう。
 以上をクリアしているという人だけ先にお進み下さい。

 コレクションSSとは、富士見書房から出版されている『コレクションシリーズ』という一連のファンタジー資料本と、SSつまりショートストーリーを組み合わせてボクが考えた造語です。
 SSは皆さんも馴染みが深いのではないでしょうか。ショートストーリーの略称。主にファンによる二次創作小説のことを指します。

 コレクションシリーズは中でも『アイテムコレクション』を参考にしました。『アイテムコレクション』とは、ファンタジーに登場する武器やアイテムを紹介した資料本ですが。設定だけでなく雰囲気も紹介するため、アイテムごとに短い小説が付いているというのが特徴です。
 そのストーリーというのが断片の集まりだというのに、面白くってですねえ。
 ソードマスターの称号を持つ剣闘士奴隷ルーファスが、剣の腕だけで自由を勝ち取り、冒険者となって成功するまでの物語となっているんですが。最後にルーファスは遠い地へ旅に出ている。
 で、実はライトノベルの名作『ロードス島戦記』に登場して主人公たちを導く傭兵王カシューという男が、実はルーファスの後の姿だというね。熱い話です。

 で、どうしてこの『アイテムコレクション』を小説修行に活かそうと思いついたのかというと。
 ある日、ボクの小説書き仲間が悩んでいた。アイデアは浮かぶようになったし、今度は描写練習のため、設定からワンシーンの小説を書きたい。だが具体的なイメージが湧かない。そこで相談を受けたボクは、不意に閃いて「『アイテムコレクション』みたいな感じで書けば良いんじゃね?」とアドバイスしたのです。
 以来、設定から作り出したワンシーン小説のことを、ボクは「コレクションSS」と呼んでいます。コレクションSSという手法を思いつくキッカケを作ってくれた、T君には感謝です。

 というわけでコレクションSSとは、設定を活用したワンシーンのストーリーを作ることで、設定自体を紹介するのが目的となります。例えばその『アイテムコレクション』のダガー(短剣のこと)の項目ならば、こんな粗筋の小説がついていました。
 剣闘士として人気の絶頂にあるルーファスだったが、暗殺者に寝込みを狙われる。だが友の助言により、枕の下に隠しておいた短剣で返り討ちにするのだった。武器としては心許ない短剣だが、携帯性ゆえに隠せたのである。
 ……というようにダガーの特性をストーリーとして紹介しています。そう、設定の紹介こそコレクションSSにおける最も重要な目的となります。


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